【ひろしまNPO人物ファイル⑪】公益財団法人ひろしま国際センター 日本語常勤講師/地域日本語教育総括コーディネーター 岡田信さん・三好千聖さん – 地域に足を運び、地域のニーズを掘り起こす。よりよい暮らしのため、ペアだからこそできる連携と協働の橋渡し

左から岡田信さん、三好千聖さん
ひろしまNPOセンターでは日本国際交流センター(JCIE)休眠預金活用事業として、2024年4月~2027年2月まで「外国ルーツを持つ若者が自ら進路を選べることを支える官民一体となった仕組み構築事業」(外国ルーツ若者キャリア支援事業)に取り組んでいます。外国にルーツを持つ若者*がことばや文化の違いにかかわらず、進学や就職の情報にたどりつき、キャリアを選べる社会を目指し「支援者がつながることで、よりよい支援を提供できる」という思いで活動しています。*本事業では高校生世代を想定
シリーズ「ひろしまNPO人物ファイル」では、外国ルーツを持つ若者の支援者に焦点を当て、活動や人物についてご紹介します。今回ご紹介するのは、公益財団法人ひろしま国際センター(以下、ひろしま国際センター)の岡田信さん、三好千聖さんです。同センター研修部で日本語常勤講師として日本語などの研修を担当されています。2026年4月には広島県の地域日本語教育総括コーディネーターに就任されたおふたり。コーディネーターとしての仕事についてはもちろん、やりがい、ペアで活動されているからこそのお話もお聞きしました。
(聞き手・文・写真:事業スタッフ 吉本)
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吉本:まず、ひろしま国際センターはどのような機関ですか?
三好:ひろしま国際センターは地域と密着し、地域のための国際的な取り組み、日本語教育の取り組みなどを行っています。交流部と研修部があり、交流部は広島市、研修部は東広島市に事務所があります。交流部には外国人相談窓口、留学生活躍支援センターが設置されており、ワンペア日本語学習や国際交流イベントも実施しています。私たちは研修部の日本語常勤講師です。海外で日本語を教えている大学の先生やALTの先生、企業の方などに日本語の研修をしたり、留学生に日本語での研究活動に関する研修をしたりしています。
吉本:おふたりは研修部でどんな業務を担当されていますか?
岡田:海外から研修のため日本に来られた方々に対して、オーダーを聞きながらプログラムをデザインし、実施しています。また、2026年4月からは広島県の地域日本語教育総括コーディネーターに就任し、三好と私の2名体制で活動しています。地域日本語教室の立ち上げを支援したり、教室が抱える運営の課題や困りごとをワークショップ形式で一緒に考えたり、地域住民の方々に向けた「やさしい日本語」などの研修を実施したりしています。
吉本:地域日本語教育総括コーディネーターに就任されて、いかがですか?
三好:今は県内の市町や地域日本語教室へヒアリングに伺っています。ご要望や課題に対してどう一緒に取り組み、地域を作っていくか…… これからどんどんアクションを起こさないといけない、と気持ちが高まっています。みなさんの中に「こんなことをやってみたい」「こんなことに悩んでいる」というときに「あの人に相談してみようか」と声をかけていただけるよう、信頼関係を築くことが第一だと思いながら、足を運び、顔を合わせて話す機会を作ろうとしています。
吉本:実際にさまざまな関わりを持ちながら活動する中で、やりがいに感じる瞬間はありますか?
三好:地域住民の方々と協働して「やりたいことが実現したよ」「こんなふうに変わったよ」と、みなさんにとってよりよい暮らしのきっかけを作れたときです。私がやりたいことはこれだな、と気づかされましたね。私自身、海外に住んだことがあります。自分がどんな人で、どんなことがしたいのか、言葉でうまく伝えられないと寂しいと思うんです。そんな人が少なくなったらいいなって。「できるかな?」と迷っていることがあっても、みんなで声をあげれば、誰かと誰かがつながって、話が広がり、実現する。そして人の暮らしが、地域が良くなる。今後もそれを忘れずにいたいです。
岡田:人が成長する瞬間、過去を振り返って立ち止まる瞬間に触れられることがひとつのやりがいだと感じます。日本語の研修を通して、参加者の方々に言語の上達だけでなく「こんなことに挑戦してみたい」といった意識の変化が見えると、やってよかったと思います。私自身も変化や成長を得られていると思うことがあります。多様な方々と関わる中で知らないことを教えてもらったり、考えもしなかったようなことに気づかされたり、学ぶことがたくさんあります。
吉本:人と密に関わることが多いからこその思いがおふたりから感じられます。ヒアリングに行かれた先などでいろいろな方からお話を聞く機会も多いかと思いますが、その中で見えてきた課題はありますか?
三好:連携や協働さえあれば話が順調に進むことがたくさんあるのだろうなと痛感しています。ひとりや、ひとつの組織が頑張りすぎると継続が難しいかもしれないけど、無理なくみんなでやっていけば状況が良くなるんだろうな、と。その橋渡し役になりたいです。いろいろな組織や立場の方々がうまく関わり合いながら、いろいろな事業を進めていけたらいいかなと思っています。
岡田:そうですね。こことここがつながればうまくいきそう…… と思うことがありますね。最近「ニーズがないなら、いらないんじゃないか」という言葉を耳にすることがあって、本当にそうかな?と考えさせられます。私たちはニーズを掘り起こしたり、作ったりすることを求められる立場でもあると思っています。コミュニケーションやファシリテーションは難しいですが、頑張らないといけないなと感じています。
吉本:おふたりは普段、地域日本語教育総括コーディネーターとしてペアで動いていらっしゃいますね。お互いはどのような存在なのでしょうか。
三好:岡田も私も広島大学出身なんです。学年としては離れていて、大学院時代、日本語教師として日本語クラスを一緒に担当する機会があるくらいでした。私は2020年、岡田は2021年、ひろしま国際センターには1年違いで入職しました。すごい偶然なんですよ。
岡田:採用面接の当日、会場に入ったら試験官として三好がいて、あれ!?みたいな(笑)。
三好:岡田はすごく丁寧に物事を俯瞰(ふかん)して見るタイプ。私の視野が狭くなっているときに「こうするのもひとつの方法かも」といろんな可能性を見据えながら動いてくれて、尊敬しています。
岡田:三好は人の声を聞いて、人から何かを引き出す力を持っていると感じます。周りを巻き込みながら前に進む突破力。すごく信頼しています。日本語教育という同じ場で育ってきた共通部分を持ちながら、個性も発揮できたらいいですね。私たちだからこそできることもあると思うので。
吉本:おふたりが地域の方々を思って、お互いを支え合いながら活動されていることが伝わるお話でした。今日はありがとうございました。
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