【ひろしまNPO人物ファイル④】日本語教師 胡子和子さん – 広島ならではの多文化共生を江田島市で。「正解がないからおもしろい」日本語とキャリアの支援

シリーズ「ひろしまNPO人物ファイル」では、外国ルーツを持つ若者の支援者に焦点を当て、活動や人物についてご紹介します。今回ご紹介するのは、江田島市の一般社団法人広島ベイネット(以下、広島ベイネット)代表理事として多文化共生事業などを展開、また非常勤講師として県立高校で外国ルーツを持つ生徒に日本語支援をおこなう、日本語教師の胡子和子さんです。外国ルーツ若者キャリア支援事業を通して、高校生の進路選択を支援。支援内容や個人の変容などを記録し、公開資料を作成いただいたり、支援者向けの勉強会を企画いただいたりしています。自らの活動を「お手伝い」と表現する胡子さん。ひとりひとりに向き合う日本語支援者・キャリア支援者としての活動や想いをお伺いしました。
(聞き手・文:事業スタッフ 吉本)
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吉本:まず普段のご活動についてお伺いできればと思います。広島ベイネット代表理事として、日本語教師として… どちらもお聞きしていいでしょうか?
胡子:広島ベイネットには大きく2つの柱があって、地域資源を活用した地域活性化の活動と、多文化共生の活動をしています。多文化共生の活動では江田島市国際交流協会から「えたじま日本語クラブ」を受託し、運営しています。日本語教師としては非常勤で週8時間、支援が必要な外国ルーツを持つ高校生の授業理解を助ける「入り込み支援」をしています。入り込み支援とは、授業に入って支援をすることです。授業で生徒の横について、先生が言っていることを伝え直したり、板書を写すのを手伝ったりします。
吉本:ひろしまNPOセンターの外国ルーツ若者キャリア支援事業で高校生の進路面を支援されているのは、普段の入り込み支援ではできない部分なんですね。胡子さんの活動が改めてつながりました。
胡子:自分の仕事をちゃんと説明するのって難しい!(笑)よく人に「いろいろやっていて大変ですね」と言われるけど、いろいろやっていることがプラスになっています。入り込み支援をしているからこそ高校の中での生徒の自然な姿を見ることができるし、外国ルーツ若者キャリア支援事業でやっていることを先生たちにもお知らせできる。そんな良さがあるかなと思っています。
吉本:日本語教師になりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
胡子:思い起こすと、親戚が海外で働いていたり駐在していたり、海外とつながる話が飛び交う環境にいて、国際分野にすごく憧れていました。大学では日本文学専攻だったんですが、日本語教師の養成を副専攻で選べて。私はちょっと変わったことが好きで、当時はそんなに多くの人が副専攻にあまり興味を持っていなかったし、なんか面白そうだなと思いました。卒業後、日本語教師として5年くらい働いて、青年海外協力隊として中国の大学に派遣されました。そのとき出会った人たちに「修士号を取ったらもっと選択肢が広がるよ」と言われて、大学院で勉強してみたいなって。
吉本:関心に合いそうだと直感的に思われたんですね。国際協力研究科ということですが、こちらで日本語教育の研究を?
胡子:日本語の教え方よりも、日本人が外国人をどう受け入れているかに興味が湧いて、日本の大学の留学生受入れにおける大学職員の実態に関する論文を書きました。その頃の日本語教育は「留学生受入れ10万人計画」の影響もあり、主に留学生を対象としていました。どうすれば留学生が日本でいきいきと生きられるか… そういう目線を持ってたかな。不思議なのが、今は地域でどう外国人を受け入れるかを考えていて、当時と同じことをしているんだなって。特に高校生は子どものような大人のような。でも高校のあとはすぐ社会に出されるようなものだから、納得する進路を選べることが大事だと思っています。
吉本:たしかにそうですね。日本語教師としてのご経歴は何年くらいですか?相手の日本語だけではなくて、人生を考えながらの支援なのかなと思うのですが、軸になっている考え方などはあるのでしょうか。
胡子:日本語教師としてはもう30年くらい。日本語学習って、日本語を学ぶことがゴールじゃないですよね。日本語を使ってどうしたいか、目的にどうすれば近づけるか… 私はそのお手伝い。やりたいことが少しでもあるなら一緒に探してみる?みたいな。ただ、やっぱり本人の努力も絶対に必要なので、厳しく言うときは言わせてもらう。最終的には自立できるための支援です。
吉本:これまでいろいろな人生を見られてきて、本人たちのやりたいことが叶ったり叶わなかったりあるかと思います。どんなときに活動のやりがいを感じますか?
胡子:ひとりひとりが違うから、自分もずっと勉強したり、探したりしていかなきゃいけない。正解がないからおもしろいのかも。それが自分のためだけじゃなくて、みんなのためになるからいい。この人を応援したい、じゃあそのためにはどうしたらいいんだろう… そういうことばかり考えてます。
吉本:外国ルーツ若者キャリア支援事業では、日本語教師や地域日本語教室のボランティアといった皆さんとつながって活動を進めています。それを通して感じる良さはありますか?
胡子:みんなで意見を出すことは大事だなと思います。今までの活動ではひとりでやることが多かったので、この事業ではひとりだとできないことができている感じがします。足りない部分を補ってもらっているというか、各自が自分のできることに取り組んでも、最後の目的は一緒というか。おもしろいですよね。
吉本:私も、ちょっとでもお役に立ちたいです…!外国ルーツ若者キャリア支援事業としては2027年2月末までですが、事業を通してどのような仕組みや効果が生まれるといいなと思いますか?
胡子:外国ルーツを持つロールモデルがどうしたら次の世代に影響を与えられるかが見えてくると、良い仕組みができるかな。広島ならではの多文化共生の仕組みづくり、私はその一助になれればいいのかなって。目の前の人に何をするか、その積み重ねてきたことをみんなでまとめていくと形になったり、影響力になったりするのはすごいなと思ってます。一過性のものじゃなく、続けていくことって大事ですよね。
吉本:私たちもその活動を少しでもお手伝いできたら、と思っています。胡子さん、今日はありがとうございました。
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ひろしまNPOセンター(担当:吉本)
電話:082-258-1348
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