外国ルーツ若者キャリア支援事業

【ひろしまNPO人物ファイル①】橋本優香さん – 広島で日本語教師、海外でマイノリティの立場を体験。「好きなことが仕事」とは

2026 . 03 . 02

【ひろしまNPO人物ファイル①】橋本優香さん – 広島で日本語教師、海外でマイノリティの立場を体験。「好きなことが仕事」とは

ひろしまNPOセンターでは日本国際交流センター(JCIE)休眠預金活用事業として、2024年4月~2027年2月まで「外国ルーツを持つ若者が自ら進路を選べることを支える官民一体となった仕組み構築事業」(外国ルーツ若者キャリア支援事業)に取り組んでいます。外国にルーツを持つ若者*がことばや文化の違いにかかわらず、進学や就職の情報にたどりつき、キャリを選べる社会を目指し「支援者がつながることで、よりよい支援を提供できる」という想いで活動しています。*本事業では高校生世代を想定

 新シリーズ「ひろしまNPO人物ファイル」では、外国ルーツを持つ若者の支援者に焦点を当て、活動や人物についてご紹介します。今回ご紹介するのは、フリーランスの日本語教師、橋本優香さんです。日本語教育に携わり30年以上。現在は広島県内外の自治体や教育機関などから依頼を受け、地域日本語教室、やさしい日本語講座や日本語ボランティア養成講座などの講師を担当し、広島市の日本語教育総括コーディネーターとしても活動されています。外国ルーツ若者キャリア支援事業においては、地域日本語教室に関連する情報やアドバイスを提供くださっています。橋本さんの日本語教師としての仕事、その枠を超えた支援、休日の過ごし方まで、お話を伺いました。

(聞き手・文:事業スタッフ 吉本)

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吉本:まず、活動についてお伺いします。お仕事の内容と、外国ルーツの若者との関わり方について教えていただけますか?

 

橋本:日本語教育コーディネーターの仕事として、広島市で外国人市民向けの日本語教室を開いています。そこに外国ルーツの10代後半の子どもたちが来ることがあります。義務教育の年齢は過ぎているけど、日本語力がなくて高校には入れない。高校卒業資格がないと、受け入れてくれる日本語学校も少ないし、専門学校にも行けない。私が直接支援できるわけではないですが、相談を受ければ通信制の学校や夜間中学、進路を紹介しています。その年代の子どもを受け入れているボランティアの日本語教室があれば、お繋ぎもします。

(提供:呉市国際交流協会) 

吉本:教育から生活の相談まで関わる橋本さんですが、日本語教育そのものには何年くらい携わっていますか?

 

橋本:もう30年以上になります。もともと好奇心旺盛だったので世界に興味があって、教師もなんとなく選択肢のひとつでした。田舎出身で、英語ができるバイリンガルでもトリリンガルでもない。自分が好きな教育分野で海外に出られて、ネイティブスピーカーに負けないことって何だろう?と思ったときに、日本語教師だ!って。大学で日本語教育を専攻し、卒業してからはずっと日本語教師です。英語は最低限できたらいいなと思ってまずはニュージーランド、次はスペイン語圏のコスタリカに派遣されました。

 

吉本:どういうきっかけで生活支援に関わることになったのでしょうか?

 

橋本:生活者と関わることが増えたのは2006、7年ごろからです。中国帰国者支援・交流センターで仕事をしていて、日本語教育を接点として生活のことも聞くようになりました。個人としても外国人の知人が増えて、プライベートで進路の相談を受けることもあります。そういった方は相談の専門機関があるとか、どういう学校があるとかも知らない。近所の学校に子どもを通わせてみたけど実はあっちに住めば外国語サポートが受けられた、みたいなことも後から知る。日本に知り合いがいないから、どこに相談していいか分からないんだと思います。日本語教師をしていたら、生活面も関わってきます。日本で生きていく人たちって教室の中の日本語だけじゃ全然足りなくて、家族の生活があるからその人自身が左右されてしまうんです。

 

吉本:仕事は仕事、プライベートはプライベートと割り切っていたら、自分の時間やエネルギーをそこまで注げないだろうな…と思います。何かが影響しているのでしょうか。

 

橋本:たぶん、好きなことが仕事になっていて、仕事は仕事っていう線が引きづらいんですよね… 外国人支援が仕事だから、というより、友達に相談されたから、ぐらいの感じです。

 

吉本:日本語教育、そこから派生した支援に長く携わっている橋本さんですが、仕事をする上で大事にしている考え方はありますか?

 

橋本:適切な距離感と、代わりに生きてはあげられないということです。どんな問題を抱えていても、それは本人じゃないと解決できない。良く言えば、本人が自分でできると信じている。悪く言うと、残念ながら私が代わってあげられる問題ではない。ちょっと冷たいかもしれないけど、そうじゃないと長く関われないし、なんでもやってあげることがその人のためになるとも思わないんですよね。ある意味、対等な関係が大事かなと。学生や生活者の人たちと半年後、1年後…とかにばったり会うと、切り開いているな、根を張っているな、と思います。日本語めっちゃ上手になってる!とか、就職したんだ!みたいな。なんとか暮らしているんだなぁって。

 

吉本:関わった方とばったり…も含めて、橋本さんの活動は仕事でもあるしプライベートでもある、という印象です。好きなことが仕事になっている、ともおっしゃっていましたね。

 

橋本:そう。だから逆に大変です。何時から何時までっていう働き方ではないので…

 

吉本:フリーランスとして働き方を自分で決めないといけない、ということですよね。お休みのときはどう過ごしていますか?

 

橋本:長い休みが取れれば海外に行きます。暮らすような滞在が面白いなと思っていて、アパートを借りてスーパーで買い物をしたり、市場を巡ったり、ふらっとバスに乗ってみたり。トラブルにも身を任せます。

 

吉本:そういう旅、いいですね。日本で関わる生活者の体験を、橋本さんご自身が海外でしているような感じがします。

 

橋本:そうですね、そのために行くのもあります。自分がマイノリティになるとか、「できない」を体験するのは大事かな、って。ケータイで自分なりの辞書を作りながら旅行して、英語ができる人に会ったときに言葉の意味を聞いたり、それをひたすら言ったりしながら2週間ぐらい滞在すると、なんとなく簡単な挨拶ぐらいできるようになります。自分が教えているクラスにいる学生の国には行ってみたいと思いますね。日本人にあまり馴染みのない国出身の学生と話すと「まじ!?先生、行ったことあんの!?」みたいな(笑)一気に距離が縮まります。今は広島県でネパール、ベトナムの人たちが増えてるじゃないですか。だから行ってみるのもいいかなって。私、本で勉強ができない人で、行くのが一番です。

 

吉本:この話で終わってしまおうかと思うぐらい、海外について聞きたいことばかりなのですが…(笑)最後に、ひろしまNPOセンターが取り組む外国ルーツ若者キャリア支援事業が残すところ約1年となりました。この事業を通して、外国ルーツの若者を取り巻く環境にどんな変化があるといいなと考えていますか?

 

橋本:全員は救えないかもしれないけど、やる気のある人にはチャンスがあるように、情報が届いてほしいなと思います。情報にアクセスできなくて、チャンスを逃すのはもったいない。学校だと外国ルーツを持つ子の支援をしたことのある先生がまだ絶対的に少なくて、日本人の成功例を外国ルーツの子にも当てはめようとしてしまうけど、もうちょっと広くいろんな選択肢を示せる支援者がいるといいな、と。そういう人たちが職業として関わっていけるように、働き方も改善されるといいのかなと思います。スクールカウンセラーの働き方がある程度は確立されてきたみたいに、日本語学習支援者が学校や行政に入っていけるようになるといいのかなと思いますね。…すばらしい感じにまとめないでくださいね。こういうことに関わってるとキラキラ崇拝されることあるんですけど、そんなんじゃないんで!(笑)

 

吉本:キラキラ系の記事になりすぎないようにします!(笑)橋本さん、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

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橋本優香さんにご連絡を取りたい方は、下記までお問い合わせください。お問い合わせ時は「ひろしまNPO人物ファイルを見た」とお伝えいただくとスムーズです。

▽お問い合わせ
NPO法人ひろしまNPOセンター(担当:吉本)
電話:082-258-1348
メールアドレス:yoshimoto☆npoc.or.jp(☆を@に置き換えてください)

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